女性では思春期の発来とともに、女性ホルモン分泌動態の周期性変動が生じる。この変動は、性機能に影響するだけでなく、さまざまな心身の機能に影響することが示唆されているので、10代から60代の女性を対象に「女性の性周期と健康・生活に関するアンケート」調査と基礎体温の測定を行って、実態把握を試みた。アンケート内容は、「性周期」を月経期、月経前期(黄体期、高温相)、月経後期(卵胞期、低温相)の3ステージに分けて、各期で感じる心身の自覚症状などである。合計971名の回答から、10代-20代では、月経期に月経前期よりも心身の自覚症状「疲労感」「いらいら感」「能率低下」などの出現頻度が高かった。一方、30-40代では月経前期に訴えの頻度が高く、年代による違いが示唆され。月経後期には、どの年代でも訴えが少なかった。アンケート回答者の一部の人たち(170名)に基礎体温の毎日の測定を依頼した。早朝覚醒時に仰臥位で、実測式テルモ電子体温計(型式-C57)によって、舌下温を測定し、記録してもらった。月経周期の2回の測定を依頼した。基礎体温周期の規則性と変動巾に着目して、周期性の良い方から2、1、0とした。10代では2の人が少なかったが、20代後半から30、40代では2の人が多いなど、年代によって、性周期の心身影響は異なる傾向が示された。基礎体温を測定した一部の女性12名(21-48歳)に依頼して、性周期の高温相と低温相の中頃の日を目処として、防衛体力の指標として血液NK細胞活性を、行動体力の指標としてコンピューターにデータを入力する作業時の生理機能、疲労感などの気分を測定・評価した。血中女性ホルモン濃度が、黄体期と卵胞期の環境であった6名(22-40歳)では、血液NK細胞活性値が高温相に低温柏より高く、行動体力も高温相でいくぶん高い傾向であった。しかし、低温相ではリラックスしていることが示唆された。
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