平成7年度の研究計画は、自然体験学習の指導者に関連する内外の文献の収集とその検討、およびわが国の自然体験学習指導者養成の実態調査であった。 自然体験学習指導者養成カリキュラムの試案を作成するための資料として、アメリカの関連大学における博士論文、カリキュラムガイド、および自然体験学習指導者養成に関する専門書を収集するとともに、わが国においては自然体験学習関連団体で実施している指導者養成プログラムの事例を収集し、それらのデータから指導者養成カリキュラムを作成する際の留意事項等を整理した。主な事項としては、1)体系的な養成カリキュラムを構築すること、2)知識・技術の指導ばかりでなく、現場で生じる種々の問題を解決するための姿勢や方法のトレーニングを加えること、3)特定のテーマ、トピックスに関する講習会やワークショップ形式(参加者主体、相互研修)の講習会を導入すること、4)指導実習体験を取り入れること、等である。 体育系大学・教員養成大学のシラバスおよび民間の野外教育団体への調査結果から、わが国の自然体験学習指導者養成は、社会における自然体験学習の多様化に反して、取り扱かわれている種目に偏りがあり、その目的としている指導対象の狭さ(障害者や高齢者に対応した指導内容の欠如)や、技術指導への偏重(自然に関する知識や管理・運営に関するカリキュラムの不足)等がみられることが明らかになった。
|