本研究は、自然体験学習を組織的に実施している機関、指導者及び専門家を対象とした指導者養成カリキュラムの内容と問題点に関する実態調査を行い、自然体験学習指導者養成のカリキュラム試案を作成し、そのカリキュラムに沿って実験と参加者を対象とした評価研究を行うことにより、わが国における自然体験学習指導者養成に必要とされている具体的なカリキュラムを提示することを目的としていた。 先行研究の検討、大学や民間等の自然体験学習指導者養成カリキュラムの検討、短期間の自然体験学習指導者養成カリキュラムの実施とその評価、等により、カリキュラムの構成要素を抽出した。このカリキュラム構成要素を中心とした調査用紙を作成し、わが国において自然体験学習指導者養成に関わっている専門家を対象に意識調査を実施した。この調査結果と今まで検討してきた結果に基づいて、最終的な自然体験学習指導者養成カリキュラムの構成内容として11項目を提示した。1)自然に関すること(自然科学概論、自然保護、環境汚染・破壊等)、2)自然体験学習に関するもの(野外教育論、自然体験学習の意義、自然体験学習の現状と方向性等)、3)対象に関すること(発達段階、心と身体の現状、高齢者・障害者の理解等)、4)関連法規(自然体験学習の振興・条件整備に関する法令、施設の維持管理に関する法令等)、5)管理・運営(施設マネジメント、運営組織、安全基準、施設・用具管理、企画と募集等)、6)指導法とリーダーシップ(指導者の資質と役割、インタープリテーション技術、意志決定能力等)、7)野外でのグループ・カウンセリング(グループダイナミックス)、8)プログラム企画・立案(企画立案、進め方、食糧、装備計画等)、9)安全管理(危機管理、野外救急法、事故発生と法的責任等)、10)評価と記録(ソフト・ハード等評価方法の作成と実施、報告書の作成等)、11)各種実技(実習と理論)。
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