研究概要 |
本研究の目的は、動作肢の指刺激中に末梢および中枢の感覚を反映していると考えられている体性感覚誘発電位成分の中でどちらの電位成分が変容されるかを検討することにある。 本実験結果を要約すると次の通りである。 (1)導出部位F3、C3′そしてP3においてN20,P30,N30,P45成分は一定に再現よく誘発された。 (2)持続的な随意動作中では導出部位P3においてはN35成分は増加を示し、導出部位F3では減少を示した。 (3)前頭から導出されたN30成分は持続的な随意動作中では著明に減少した。 (4)頭頂から導出されたN35成分を除く、すべての体性感覚誘発電位成分は持続的な随意動作中では著明に減少した。 その結果、前頭から導出されたN30成分は精神的刺激課題中ばかりではなく随意動作中でも抑制されているということがわかった。本実験結果から、体性感覚誘発電位成分の抑制は中枢機構と末梢機構の両方の相互作用よっていることが推察された。特に、動作の種類に応じて、より中枢機構が優位に関与する場合とより末梢機構が優位に作用している場合があることが推察された。
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