研究概要 |
人間の身体活動能力を測定する意義は、日常生活においてより健やかに生きるために最低限必要な身体活動量が提示さられることであろう。高齢化社会を迎えた我が国の中高年齢者の身体活動量の評価は、ADL(Activity of Daily Living)という指標は提案されているものの、具体的な身体活動能力の評価基準を設定するには至っていないのが現状である。このような背景から身体活動能力の指標として、日常生活中頻繁に遂行され、多くの筋および関節が関与する動作を対象に、一回の筋活動(単発的筋活動)で発揮される機械的パワーの測定法を開発することを目的とした。さらに加齢にともなう身体活動能力の標準値を設定するとともに、多関節動作におけるカ-速度関係の変化からパワーの低下を論じることを目的とした。 要約 [測定対象者]:30歳から80歳までの日常定期的な運動習慣をもたない男女を対象に、本調査への賛同について同意を得て測定を行った。 [筋出力パワーの測定]:パワー測定装置(PP-IIおよびLeg Powerともに現有設備)により、各基本的動作での筋出力パワーを測定した。具体的手順は以下の通りである。 1)人間の上・下骨格系で発揮される機械的パワーの測定法と評価法の開発 新しく考案、作製したパワー測定装置(Power Processor-II,現有設備)を用いて、動作パワーを測定する。測定動作は、上肢の動作として肘関節屈曲、下肢の動作として膝関節伸展、体幹筋群の関与する股関節屈曲動作および脚全体動作であるスクワツト動作(挙上動作)と対象とする。なお同装道の負荷様式は、電圧変化によるパウダーブレーキを用いているため、容易に設定可能でかつ連続測定にも適している。また同装置は容易に移動、設定が可能であるため、フィイールドテストにも適している。 2)カ-速度関係からみた加齢に伴なう筋出力パワー低下の要因とその上、下肢比較 30歳代から70歳代を10歳毎の集団に分け、各動作から得られた最大パワーとカ-速度関係の比較を行なう。加歳にともなう最大パワー低下の要因は、カと速度のどちらに依存するところが大きいか、また同関係で上肢と下股の違いがみられるか否かを検討した。
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