平成7年度は利尿ホルモンであるアンジオテンシンIIの副腎に対する作用について主として研究を行った。まず、ラットを購入し、トレーニング群と、コントロール群に分け、トレーニング群については8週間のトレッドミル走行トレーニングを行わせた。トレーニング期間終了後ラットから、副腎を摘出しアンジオテンシンIIによるアルドステロン放出実験とANP受容体数の測定を行った。 アンジオテンシンIIは副腎からアルドステロンを放出させることによって利尿作用を起こす。トレーニング、コントロール群のラットから摘出した副腎をアンジオテンシンIIを含む緩衝液中で1時間インキュベーションし、放出されるアンドステロンをラジオイミューノアッセイ法で測定した。また同様の実験を一過性の運動を負荷した後に行った。その結果、アンジオテンシンの放出量はトレーニングによって統計的に有意な変化を起こさなかったが、一過性の運動を行うと、アルドステロンの放出量が高まる変化を引き起こした。 アンジオテンシンIIとは逆にアルドステロンの放出を抑制するのがANPである。ANPについては副腎の受容体数の測定を行ったのであるが、トレーニングでANP受容体数が増加する傾向がみられた。 アンジオテンシンIIとANPの相互作用の結果アルドステロンの放出量が決まるが、これについては平成8年度に行う予定である。またアンジオテンシンIIの受容体数の測定も平成8年度に行う予定である。さらにすでに行った実験に関しても例数を増やし、データの信頼性を高めたい。
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