利尿作用や抗利尿作用をもつホルモンの作用がトレーニングによってどのような変化を示すかを主としてANP受容体について検討した。実験動物としてウイスター系雄ラットを用い、トレッドミルによる走行トレーニングを10週間行わせた。最終的なトレーニングは30m/min、90分間の走行であった。トレーニング終了後、トレーニング群およびコントロール群のラットから腎臓、副腎を摘出して粗細胞膜を調整し、ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)受容体結合実験、ANPまたはCNP刺激によるグアニレートサイクレースアッセイを行った。また副腎をアンジオテンシンIIによって刺激することによるアルドステロン放出実験を行った。cGMPおよびアルドステロンの測定には市販されているラジオイミューノアッセイ用キットを利用した。 その結果以下の様であった。 1.腎臓のANP受容体では結合実験によって測定した受容体数にトレーニングによる変化は見られなかったが2nd messengerであるcGMP合成能は高まっていた。 2.副腎のANP受容体では結合実験によって測定した受容体数はトレーニングを行うことにより増加した。しかし、2nd messengerであるcGMP合成能に変化は見られなかった。 3.アンジオテンシンIIによるアルドステロン放出はトレーニングを行うことによって増加した。以上の結果からトレーニングは利尿、抗利尿作用の双方を高めそれにより、より適切に体内の水分あるいは電解質のレベルが調節されるのではないかと考えられた。
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