研究概要 |
気管支喘息児の健康づくりのための運動処方作成を目的に、ミニサッカー(フットサル)教室を開設した。参加者は、喘息児12名(軽症6名、中等症4名、重症2名)、及び健常児3名である。年齢は6歳から9歳までである。 運動は、平成7年9月より平成8年2月末までの6月間、週2回、各1時間、体育館内で行なった。体育館内の環境は、平均気温15±4℃、湿度52±8%、風速0.1〜0.2m/sec、室内塵埃9cpm(ろ紙塵埃計による相対濃度)であった。 健康・体力向上度判定のために自転車エルゴメーターによる漸増運動負荷を実施した。パラメーターには、生化学面から免疫グロブリン(IgE)、カテコールアミン(NAD, AD)、肺換気機能の面から最大呼出1秒率(%FEV_<1.0>)、最大瞬間呼気流量(PFR)、及び体力面から運動負荷時の酸素脈(VO_2ml/kg・pulse)、1回換気量(VE/呼吸数)、ガス交換比(VCO_2/VO_2)を用いた。 結果、ランニング距離は比較的短いもの思われるが、絶えず体を動かしているため、運動量は多く、平均心拍数109.4±15.7で最大値は163beats/minとなった。IgE値は平均817.8±465.8IUから6月後には679.4±240.3IUとなった。カテコールアミン(ノルアドレナリン:NAD)は基準値0.07〜0.31ng/mlに対し、平均0.40±0.12及び0.39±0.09ng/mlと高い値を示していた。 漸増運動負荷においては、平均で0.5Kp負荷量の増加を認め、ガス交換比も運動負荷中に1を越えることはなかった(1を境にanaerobicsの状態になる、しかし喘息児では常時1を越えている)。 以上、室内でのミニサッカーにおいて、ゲームに入り運動負荷量が急増した時に喘息発作が誘発された。今後は、運動負荷量と発作の誘因となる因子について研究を進めたい。
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