研究概要 |
目的:気管支喘息児の健康増進を図りながら、運動処方基準づくりの資料を得ることを目的として、ミニサッカー教室を実施した。 被検児:気管支喘息児12名(6〜9歳)及び健常児4名(6〜9歳)である。 指標:体力指標として酸素摂取量・心拍数・最大呼出1秒量、免疫指標として免疫グロブリンE・白血球(好酸球、好中球)を用いた。 運動及び測定:ミニサッカー(フットサル)を週2回、各1時間、6ケ月間、体育館内で実施した。環境条件は平均気温17±4°C、湿度52±8%、風速0.1〜0.2m/sec,室内塵埃9cpmであった。運動強度は最大心拍数の約80%(安静時心拍数の約1.5倍)を目安にした。測定はサッカー教室開始時、3ケ月後、6ケ月後に自転車エルゴメーターにより漸増運動負荷テストを実施した。 結果:HRは、安静時、最大運動負荷時ともに喘息児の値が健常児に比べて有意に高かった(HRmaxは喘息児148.4±21.76、健常児136.7±20.5拍/分:P<0.05)。最大酸素摂取量は健常児に比べて低かった。しかし、6ケ月後には運動負荷強度も1.6kpまで漸増し、また最大呼出1秒量の低下も少なくなり体力的には全ての面で健常児との間に差は認められなくなった。免疫指標としてのIgEは735±359IU/mlと高い値を示し、変化は認められなかった。また、好酸球は喘息児10.1±1.3%(健常児2.2±1.25%)あり常に高い値を示した。 まとめ:最大心拍数の約80%(安静時心拍数の約1.5倍)の運動強度までは、喘息発作を誘発(即時型)することなく、気管支喘息児の体力づくりに役立てることができると思われる。
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