5、6歳の幼児を対象として、10日間毎日「ホールを投げる、受ける」という練習を実施し、ボールを受ける能力の変化とあわせて投球能力の変化について調査した。 保育園の年長児を対象とした。ボール投げの練習として毎日10分間白由な投げ合いを、またボール受けとして1日おきに10回づつ、自分で頭上に投げあげたボールを捕球するよう指導した。10日間の練習の前後で硬式テニスボール遠投、および硬式テニスボール捕球回数(5球のうち)を記録した。 第1回測定時のボール投げの距離は、男子平均8.5m、女子平均5.5mであった。男子は練習以前において既に女子に比べ約3.0m優れた遠投能力を持っていた(P<0.01)。また捕球回数は、男子平均2.4回、女子平均2.8回であり、捕球能力における性差は統計的に有意なものではなかった。第2回の測定では、ボール投げ距離は、男子平均11.2m、女子平均5.6mであり、ボール受け回数は、男子平均4.0回、女子平均4.3回であった。第1回測定値に比較して、男子でボール投げ、ボール受けの両方に、また女子でボール受けに有意な練習効果が認められた(男子:P<0.01、女子:P<0.05)。捕球回数に見られる練習効果は男女間で差が見られなかったが、ボール投げ距離における練習効果に男女間で著しい差が存在した(P<0.01)。すなわち、5歳児を対象とした本研究においては、捕球能力およびその練習効果については男女間で差が見られなかったが、投球能力およびその練習効果については男子は女子より優れていた。 身体的特性に男女間で差がなかったことから、本研究で見られた投能力およびその練習効果の性差は、男女間の生理的な差を示すものというより、スキルの学習に学習者自身の興味・意欲、あるいは学習以前の経験等が大きくかかわっていることを示すものと考えられた。
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