人口の高化に伴い社会的な問題となっている骨粗鬆症の予防法の一つとして運動が注目されている。運動による骨への影響については、これまでcross sectionalな研究が多く、発育期から高齢期まで継続的に検討されたものは少ない。そこで本研究では、ヒト(女性)の加齢を想定し、発育期の運動効果閉経期における発育期の運動効果の推移、高齢期における発育期の運動効果の推移および高齢期の運動効果などについてマウスを用いて縦断的に検討した。 方法は、ICR系雌性マウスを用いて(1)発育期:8週間(7〜15週齢)走運動負荷(12m/分×1時間、5日/週)を行い運動の有無別2群を比較した。 (2)閉経期:16週齢時に卵巣摘出を行い、14週間後(30週齢)に発育期の運動の有無別2群とsham ope.群の計3群を比較した。 (3)高齢期:発育期の運動の有無に高齢期の運動(発育期と同負荷)の有無の条件を加えた4群とsham ope.群の計5群について、運動開始4週間目(34週齢)と8週間目(38週齢)の2回比較した。結果は以下のとおりである。 (1)発育期の運動は、骨硬度や骨密度を増加させpeak bone massを高めることに大きな役割を果たしていることが認められた。 (2)卵巣摘出および低Ca飼料による骨の粗鬆化は、術後20週間以降にみられた。 (3)発育期の骨に対する運動効果は、生涯に亘り長期間持続され、発育期における運動が骨粗鬆症の予防にはいかに対接であるかが推測された。 (4)骨の脆弱化が進行する高齢期においても、定期的に継続される運動は骨硬度や骨密度を維持、増加させることが可能であることが認められた。
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