本研究は加齢による動作の退行的変化をを縦断的に検討するものであり、本年度は基準となる初年度の測定である。 年齢:72.5±6.6才、身長:159.4±8.3cm、体重:54.1±7.2kg、BMI:21.3±2.7の男子17名と、年齢:79.1±8.5才、身長:145.6±5.9cm、体重:44.9±6.5kg、BMI:21.2±2.5の女子17名を被験者として正常歩行(Self-selected Walking)時の歩行動作を高速VTR法(200コマ/秒)によって撮影し、座標解析法による動作分析をおこなった。 男子の歩行速度、歩幅、歩数は66.9±5.8m/分、59±7cm、113.4±11.6歩/分であり、女子のそれらは50.5±5.2m/分、46.5±9cm、108.8±11.0歩/分であった。いづれの値も男子が女子を上回った。また、一歩時間、接地時間、空中時間は男子で1.09±0.11秒、0.68±0.08秒、0.39±0.05秒であり、女子のそれらは1.12±0.12秒、0.71±0.08秒、0.41±0.04秒であった。一歩時間に対する接地時間の割合は男子で63.8±2.2%、女子で63.7±1.3で男女間に差はみられなかった。 歩行時の膝関節の最大、最小屈曲角、および角変位は男子で175.2±3.6度、127.3±4.9度、47.8±6.5度であり、女子のそれらは176.2±3.5度、125.3±4.2度、51.3±5.4度であった。また、膝関節の地上からの最大、最小位、および変位は男子で58.2±5.2cm、50.3±4.5cm、7.9±1.5cmであり、女子のそれらは56.4±5.2cm、49.5±4.5cm、6.8±2.0cmであった。転倒と関係する爪先の地上からの最大位は男子で11.3±2.3cm女子で11.0±2.3cmであり男女間に差はみられなかった。
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