研究概要 |
六弗化硫黄(SH)希釈法による身体組成評価法について、1)平成7年度においては、14.0(リットル: 1)から104.0 1までの樹脂製のダミ-および18歳から64歳までの成人(男性90名、女性131名)、2)平成8年度には6歳から17歳までの子供(男性46名、女性35名)および65歳から81歳までの高齢者(男性21名、女性14名)を対象として、体積と身体組成の再現性、妥当性および交差妥当性の面から詳細に検討することを主な目的とした.妥当基準は、水中体重秤量法による体積および身体組成とした。その結果、SH希釈法による体積は、ダミ-および各年齢層や男女のいずれにおいても、高い再現性(r=0.999)を示し、また基準値に対して高い相関関係(r=0.999)が認められた.しかし、体積の絶対値は、基準値に比べて約1%の有意な高値を示した.この差は、体脂肪率に換算した場合に、有意な過大評価となった.本研究では、SH希釈法による体積から身体組成を求める場合の補正式を次のように作成した.ただし、Dbは体密度(g/ml)、Wtは体重(kg)、Vは腸内ガス量を考慮したSH希釈法による体積(1)を示す. 子供:男性Db=Wt/(0.99V-0.13),女性Db=Wt/(0.98V+0.15) 成人:男性Db=Wt/(1.00V-0.98),女性Db=Wt/(1.01V-0.10) 高齢者:男性Db=Wt/(0.98V+0.39),女性Db=Wt/(0.96V+1.53) 同補正式の交差妥当性を異なる成人について検討を加えた結果、SH希釈法による体脂肪率(男性:19.1±5.9%、女性:28.6±9.8%)は、基準値(19.4±5.8%、30.6±6.6%)と概ね同値であることが認められた.これらの成績から、SH希釈法は、新たな身体組成評価法として利用できることが示唆された.
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