研究概要 |
1,実験室(1)気温30℃:主運動を90%Vo2max強度5分間,ウォーミングアップ(以下W-up)時間10分間とし,強度(50%・70%Vo2max),湿度(40%・70%),日射(有り・無し)の8条件で5名の被験者により検討した。高湿度下にて70%強度のW-upを実施した場合には,主運動,回復期の酸素摂取量および回復期の心拍数が高値を示した。(2)気温10℃:湿度40%,主運動を90%Vo2max強度5分間とし,W-up時間(10分・20分),強度(50%・70%Vo2max),日射(有り・無し)の8条件で4名の被験者により検討した。70%強度によりW-upを実施した場合には,主運動,回復期ともに心拍数が高値を示した。いずれの温度条件においても高強度によりW-upを実施した場合には,マイナス効果となる可能性が考えられた。2,スポーツ現場の実態(1)夏季:陸上中・長距離(大学選手23名):試合前のW-up時間は練習前よりも15分程度長く,また終了の基準は「時間」によるものが最も多かった。練習前と試合前では,方法,時間はかなり異なるが,いずれも個人の経験や感覚により実施されていた。(2)冬季:(1)ボブスレ-(全日本ナショナルチーム所属選手1名):W-up強度は最高で86%Vo2maxを示したが,平均では46%Vo2max,時間は50分であり,W-upによる直腸温の上昇は1℃であった。(2)クロスカントリースキー(大学選手4名):W-up時間は個人,また競技種目により違いがみられるが,20分〜50分程度を費やしていた。強度は最高で72%〜96%Vo2maxを示したが,平均では35%〜54%Vo2maxであり,W-upによる直腸温の上昇は0.5〜1.1℃であった。実際のスポーツ現場におけるW-upは,瞬間的には高強度で実施されているが,平均ではかなり低強度であり,ある程度の時間が費やされている。今後,実験室において相対的負荷によりW-upを実施させる場合には,低強度により時間条件を変えながら検討していく必要があるものと思われた。
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