チームスポーツ選手の競技開始前の状態不安とパフォーマンスの関係を明らかにするために、本年度は非コンタクトスポーツとして大学生男子バレーボールをコンタクトスポーツとして大学生男子サッカーを研究対象として選んだ。 これらの対象者の競技開始1週間前、1日前、2〜3時間前、試合直前、試合直後、2日後の状態不安の変化と各試合のチームとしてのパフォーマンスとの関係を分析した結果、次のような結果が得られた。 1 競技開始2時間前及び直前の状態不安は、平常時におけるそれよりも高くなる傾向が見られた。 2 チームパフォーマンスである試合での勝敗と競技開始前の2測定時点での状態不安得点との関係は明らかではなかった。しかし、選手にとって重要であると思われる試合においては、競技開始前の状態不安が相対的に高くなる傾向が見られた。 3 状態不安得点は、競技開始2時間前競技開始直前の方がわずかではあるが高くなる傾向が認められた。 4 チームパフォーマンスの善し悪しによって、状態不安得点の変化が全く異なることが認められた。即ち、負けた試合の直後には、状態不安が顕著に高い値を示し、一方、勝った試合の直後においては状態不安はかなり低下し、平常時のレベルよりもさらに下がった。試合後の心理的コンディショニングの重要性が示唆された。
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