1.10代〜70代の女性80名を対象にして活動能力の加齢変化に関する測定およびQOL(quality of life)、健康行動・生活習慣についての調査を行った。 (1)活動能力諸変数の加齢変化の様相は直線的というより曲線的(curvilinear)であること、歩行能力と脚筋力、平衡機能間に高い相関関係があることが認められた。 (2)QOLを評価する試みとして、アナログ尺度(visual analog scale;VAS)を採用した質問紙を実施したところ、高年齢群(65歳以上)では主観的な健康度や幸福度と生理学的変数との間に相関関係が認められた。 (3)調査対象とした一般の健康な女性では、Breslowらが提唱する健康に関する生活習慣スコアと生理学的変数との間には有意な関係は認められなかった。 2.運動習慣を有さない中高年齢女性7名を対象に、週に1回、60分間の中等度強度のトレーニングを10週間にわたって実施し、トレーニング前後で身体活動水準、活動能力変数等に関して比較検討した。 (1)日常生活の活動水準の指標とした1日あたりの平均歩数はトレーニングの進行にともなって増加し、後半3週間の値は前半3週間に比べて有意に高まったことが観察された。 (2)下肢筋力と歩行能力はトレーニング後に有意に向上したことが認められた。 (3)トレーニング後の大腿骨頸部・腰椎部骨密度は5カ月前の値と同水準にあり、減少は認められなかった。 3.高齢者のADL、健康度、幸福感などを考慮した質問紙を作成・実施したが、均質な母集団であったため、個人の活動水準や体力レベルとの関連については十分検討できなかった。今後の検討が必要である。
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