大股速足歩行であるエクササイズウオ-キングを、成人について主に下肢筋から筋電図を記録し、日常の各種歩行・ジョギング等と比較しながら筋の作用機序の面から検討した。また、脚筋力の弱い乳幼児・高齢者について、「運動としての歩行」の観点から筋電図的に検討を加えた。 1、日常生活でのスローウオ-キングでも、長時間行うことによって、離床時、踵押し上げに関与する下肢筋が強化されることが明らかとなった。 2、大股速足歩行であるエクササイズウオ-キングにおいて、前進力の得られる踵押し上げ時に、日常歩行ではみられない膝伸展筋(二関節筋である大腿直筋等)が積極的に動き、階段歩行の放電様相と類似した。このことから、エクササイズウオ-キングは、階段歩行と同様、かなりの負荷運動であることがわかった。しかし、踵押し上げ時、ジョギングで働く股関節伸展筋(二関節筋のハムストリングス)は、いくら歩行速度を上げても参画しなかった。 3、脚筋力の弱い乳幼児歩行・高齢者歩行はジョギングと同様、接床期においてハムストリングス等の多くの下肢筋が参画し、筋活動の面からそれぞれの日常歩行自体が、かなりの負荷運動になっていることが明らかとなった。接床期におけるハムストリングスの持続放電は、体前傾に起因していた。 4、クラシックバレエ等で用いられている基本的な移動運動であるダンス歩行では、上体が直立しているにも関わらず、踵押し上げ時に、ハムストリングスが参画した。そこで、ダンス歩行の特徴(上体の引き上げ・足先幾分外向きで一直線上に踵をおく・股間節の過伸展を伴った後方への強い蹴り等)を日常歩行に取り入れた。 その結果、姿勢は矯正され、歩行速度を上げなくてもジョギングと同様に股関節伸展筋のハムストリングス等の下肢筋が参画し、筋活動の面からかなりの負荷運動になることがわかった。
|