研究概要 |
今年度は、摂食態度調査表(EAT-26)および記述式アンケートを用いて、中国女子選手(881名)における摂食障害様の食態度・食行動異常(Disorderd eating patterns : DEP)と月経異常の発生頻度を一般女性(173名)と比較検討した。種目特性から、選手は6つの系[技術系、持久系I(痩身がパフォーマンス向上に重要である種目)、持久系II(痩身がパフォーマンス向上に重要でない種目)、エステティツク系、球技系およびパワー系]に分けられた。EAT-26で評価されたDEPの発生率は、すべての系(技術系1.5%、持久系I3.3%、持久系II1.6%、エステティック系3.0%、球技系3.0%、パワー系0.9%)で低く、一般女性(0.7%)と有意差がなかった。無月経の選手は持久系I,持久系II、エステティツク系および球技系ではみられず、技術系とパワー系でもそれぞれ0.5%と0.4%と極めて低い発生率であった。これらの値は一般女性での発生率の値(0・7%)と有意差がなかった。このような中国選手での低いDEP発生率は、中国では社会文化的および社会経済的側面からの痩身へのプレッシャーが低いことや、競技力向上のために減量が強く強調されないことに起因すると考えられた。また、中国選手で無月経の発生率か低いことに、DEPの発生率が低い(適切なエネルギー補給)ことが一部関連することが示唆された。
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