本研究では、アメリカ・東南アジア・日本におけるチャイナタウンを対象に、チャイナタウンの形成および変容について比較検討し、各地のチャイナタウンに共通する普遍的性格を明らかにするとともに、各地域のチャイナタウンの地域的性格を解明し、それらの背景について考察することを目的とした。 まず、チャイナタウンに関する内外の関係文献を収集し、文献資料のデータベースの作成を行った。また、日本の三大中華街(横浜・神戸・長崎)の現地調査を行うとともに、東南アジアのシンガポール・クアラルンプール・ジャカルタのチャイナタウンの現地調査を実施した。アメリカのチャイナタウンに関しては、本研究開始前の平成6年〜7年にかけて実施した調査成果を整理するとともに、多数の文献から考察した。 これらの結果、次のようなことが明らかになった。 日本の三大中華街は、いずれも観光地としての性格が強く、近年ますますその傾向を強めている点に大きな特色がある。これに対して、サンフランシスコやニューヨークなどのアメリカのチャイナタウンの一部には、日本と同様に観光地になっている所もあるが、近年、中国大陸・香港・台湾・東南アジアなどからの新来の華人の増加に伴い、郊外にニューチャイナタウンが形成されつつある。東南アジアのチャイナタウンを全体的にみると、現地の華人社会に対して経済的、社会的、文化的サービスを提供する機能が強く、チャイナタウンが観光地化しているところは少ない。
|