研究概要 |
生成7年度の研究ではアメリカ合衆国南部における経済発展の地域差と分極化を確認し、平成8年度は経済発展の地域差と分極化の要因を考察したので、平成9年度はこれらの分析や考察で使用した地図および表を整理し、研究をまとめる作業を行った。合衆国南部の経済発展の地域差は、人口増加率、就業者増加率、一人あたり平均所得、製造業就業者増加率、サービス業就業者増加率、都市化率などをカウンティ(群)単位のベースマップに図化して詳細に検討した。経済発展の続いているカウンティの多くは大都市圏(MSA)、とくにワシントン、DC.,アトランタ、フロリダ州南部ダラス・フォートワ-ス、ヒューストン、に含まれるのに対して、経済発展が停滞しているカウンティはウェストバージニア、ケンタッキー、テネシー、などのアパラア山地地域、大西洋沿岸平野、ミシシッピ・デルタ、テキサスおよびオクラホマのパンハンドル地域に多くみられる。大都市圏およびその周辺部で経済発展を続けているカウンティは、郊外化、郊外化に伴う各種サービス業の増加、郊外居住者を労動力とするオフィス業務の増加、中心都市からの工場の分散および新設工場の増加などにより、就業者数がぞうかし、流入人口も増加し、所得水準も上昇したことが分かった。 一方、経済発展が停滞しているアパラチア山地地域、大西洋沿岸平ミシシッピ、デルタ、テキサスおよびオクラホマのパンハンドル地域のカウンティの所得水準が低い、1970年代から80年代にかけてこれらの地域に低賃金を求めて製造業が進出して、カウンティの一人あたり所得は上昇した。ところが、1980年代中頃から低賃金労働という比較的優位性が低下して、非農業部門の就業者の伸び率が低くなり、経済発展が停滞していることが分かった。
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