(1)文献研究 地理学、認知科学、心理学における認知地図形成に関する文献研究を行った。また、時間地理学および認知科学関係の研究会に出席し、研究課題に関する情報を収集した。文献研究の結果、報告者は、認知地図が「サーベイ・マップ」ではないという確信を深めつつある。これについては、認知科学の状況論に関する今後いっそうの理解が必要であろう。そのため、来年度も文献研究・情報収集を引続き行う予定である。 (2)認知地図形成過程のモデル化 時間地理学的アプローチによって、生活時空間を構造化し、これを認知地図形成過程に組み込んだモデルを構築することを目指している。現在、生活時空間の構造化に関しては、かなり研究が進んでいるが、認知地図形成過程との関係づけについては、試行錯誤の状態である。生活時空間に関する研究成果の一部は、『都市の生活活動空間(仮題)』(共著書、平成8年10月出版予定)にて、発表する予定である。 (3)大都市圏郊外住民の生活時空間および認知地図の調査 平成7年の4月と10月に愛知県豊田市において、大規模な活動日誌調査を実施し、現在、データを分析中である。本科学研究費補助金の一部を、その分析に使用した。上記のように、「認知地図形成過程」の文献研究による試行的なモデル化作業が現在途中の段階にあるので、認知地図からめた調査は、当初の計画より延期し、平成8年度に行う予定である。
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