研究概要 |
本年度は,研究動向把握と全国レベル(国および都道府県)の景観整備政策の調査に力点を置き,そのほかに実証的な地域研究を1カ所において実施した。具体的な成果は,以下の通りである。 1,景観整備研究の動向把握を実施し,岡橋(1993)に引き続き,特にわが国における地理学以外の分野における最近の研究動向の把握につとめた。その結果,景観整備及びその政策に関して,実証的な研究がいくつか見出され,今後の研究の展開に対して有益な示唆を得た。 2,景観政策の展開と景観整備実施の全国的な現状把握を行った。国土庁より景観整備政策について市町村・集落レベルの実態がわかる資料を得,これにもとづき分析を行い,一部を学会においても発表した。 3,全国の中でも先進的に早くから景観整備政策を実施してきた滋賀県と熊本県についてヒアリング調査を行い,関係資料の収集を行った。その結果,県によりその内容はかなり異なり,滋賀県の場合は琵琶湖を中心とした環境保全が大きな柱となっており,他方熊本県では建築物のデザインや修景が重視されていることが判明した。今後他県の事例の検討も進め,その一般化につとめる予定である。 4,スプロールが進行した市街化農村地域(広島市川内地区)を対象に,景観の変容と景観意識の実態調査を行った。住民アンケート調査を今年度実施したが,次年度は他の調査も行い,合わせて成果を発表の予定である。
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