研究概要 |
本年度は,平成8年度に調査を行った広島市安佐南区川内地区の継続調査を行い,その成果をとりまとめるとともに,新たに急速な都市化で特色ある農村景観が失われつつある近郊農村(東広島市西条地区)の実態調査に着手し分析を行った。また,景観整備の先進事例,2地域について調査を行った。得られた主な成果は以下の通りである。 1.広島市安佐南区川内地区における景観変化と景観意識 川内地区については,現地の景観変化,景観整備の実態調査を行い,また同時に昨年度実施したアンケート調査の本格的な解析作業を行った。その結果,スプロール的な市街化が進むこの地域において,農業景観や河川景観が住民に高く評価されていること,しかし汚濁の激しい域内の農業用水路については新旧住民による差異が存在することが判明した。この地域にとって今後の景観整備は大きな課題であるが,こうした住民意識の違いを十分考慮する必要が示唆された。 2.東広島市西条地区の赤瓦景観の調査 東広島市は,急速な都市化の中で従来の農村景観,特に特徴的な赤瓦の景観を保全する動きが見られる。調査の結果,赤瓦景観の成立は比較的新しく,その存続には住民の意識とともに自治体行政の施策が役割を果たしていることが判明した。景観意識のアンケート調査も合わせて行い,現在分析を進めている。 3.景観整備の先進事例の調査 京都府美山町,愛媛県内子町の景観保全の実態について予備的調査を行い,地域振興との関係を検討した。
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