本研究の目的は、ある地域の生活の質(QOL)を定量的に把握するには、当該地域に隣接する地域のQOLも考慮する必要があるとの認識から、アクセシビリティの概念を用いて、隣接地域のQOLも考慮した、新しいQOLを求めるモデルを構築すること、さらにQOLに対する住民の満足度調査を通じて、アクセシビリティを考慮しない場合と比較して、このモデルの優位性を確認すること、などである。 昨年度のモデル構築の成果を生かし、アクセシビリティー考慮と非考慮の場合のQOLのパターンを地図化し、アクセシビリティー考慮・非考慮でQOLの値がほとんど変化しない市町村群と、考慮した際に大幅にQOL値の上昇が見られる市町村群を特定した。この2つのグループのうち、前者として重信町、川内町、後者として野村町、三間町を取り上げ、住民に対するQOLの満足度のアンケート調査を実施とた。その結果、アクセシビリティーを考慮したQOLの評価値は、考慮しない場合と比較して、QOLについての住民の満足度と極めて高い相関を示すことが確認され、本モデルの有効性が認められた。
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