1年目は、OF関連の文献をさらに収集することであった。国内では東文研(東大)やアジア経済研究所及び民博、東南アジア研究センター、さらに広島大学の総合地誌研究資料センター等、国外ではインドに1ヶ月間での現地資料と新たなOF関連文献の収集を行った。 成果としては、当初余り重要視していなかった婦女子(特に農村女性)と酪農開発との関連をどのように考えるかが「白い革命論争」の一つに加えることの重要性が痛感され、インド滞在中に1週間ほど女性酪農協同組合の一つドマリ村(Dumali)を訪ね情報を得た。NDDBの進めるOFプロジェクトの評価をめぐる論争は、1970年代から今日までの期間でかなり相違してきたことが知れた。 2年目は、国内では1年目と同様に上記の研究機関での資料収集を継続する一方で、5月にはイギリスのリ-ジェント大学のODIで酪農を含む畜産業の開発研究文献を広く収集し得た。つまり、「インドの白い革命」をアジアやアフリカなど熱帯サバナの開発のありかたとの関連つまり環境劣化の問題を視野に入れる必要を痛感した。特に今日では問題にされることの少ない村落共同放牧地を考えることの重要性を痛感し、研究を進めている。 新たな成果は、1991年以降の経済自由化の問題があり、いわゆるア-ナンド方式の酪農開発の問題が生じていることである。それは、酪農共同組合論をめぐる問題でもある。酪農協同組合運動の誕生地であるア-ナンドやその南隣のバロ-ダ市やア-メダバ-ド市などにおいてもの個人酪農企業家の成長が著しく、ミルク市場での公私のシェア争いは激化している。
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