研究課題/領域番号 |
07680170
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
菊地 俊夫 東京都立大学, 理学部, 助教授 (50169827)
|
研究分担者 |
関戸 明子 群馬大学, 教育学部, 助教授 (50206629)
|
キーワード | 持続可能な農業・農村システム / グリーンツーリズム / 市街地型グリーンツーリズム / 近郊型クリーンツーリズム / 近郊外縁型クリーンツーリズム / 遠郊型グリーンツーリズム / 環境資源利用 / 多目的機能の土地利用 |
研究概要 |
本研究の主要な目的は、日本における持続可能な農業・農村システムとしてのグリーンツーリズムの成立基盤を明らかにすることである。平成8年度の研究では、関東地方におけるグリーンツーリズムが市街地型・大都市近郊型・大都市近郊外縁型・大都市遠郊型に類型化され、これらの諸類型に基づいて事例研究を実施した。大都市遠郊型では、群馬県の利根郡水上町藤原郷と片品郡川場村、および吾妻郡六合村の調査が集約的に行われ、グリーンツーリズムの成立基盤が環境資源利用に基づく生業システムとの関わりのなかで明らかにされた。 調査地域の伝統的な生業システムにおいては、地域に内在する環境資源が相互の物質循環に支えられ補完し合いながら持続的に存立していた。しかし、高度成長期における商品経済発展や生活水準の向上、あるいは都市化や過疎化・高齢化は伝統的な生業システムを崩壊させた。このような生業システムの崩壊は農業・農村システムの崩壊にもつながったが、調査地域ではグリーンツーリズムを加えた新たな生業システムの構築により農業・農村システムが再編された。つまり、グリーンツーリズムの導入により、環境資源相互の新たな物質循環をつくりだしていくことが、持続的な農業・農村システムの構築に重要であることが明らかにされた。 大都市遠郊と同様の現象は大都市の市街地や近郊でも生じており、それらの地域の事例として東京都調布市と埼玉県所沢市を取り上げ実証的な予備調査を行った。市街地型ないし大都市近郊型のグリーンツーリズムでは、多目的機能の農地利用により支えられていることがわかってきた。多目的機能の農地利用の実態とその農業・農村システムとの関わり合いの解明は、次年度に残された課題となった。したがって、次年度は市街地や大都市近郊を中心に調査研究を行う。
|