1. 森林組合の広域化は、戦後昭和30年代の市町村合併にともなう1市町村1組合をめざす動きの中で生じた。これを「準備段階期」と称する。 2. そうして成立した森林組合が市町村枠を越えて広域組合になるのは昭和40年代のことで、折からの山村地域の過疎化と、一方ですすめられつつあった拡大造林の補助事業を処理できる森林組合の充実が緊急に必要とされたことがその背景にあった。国も合併助成の法整備をすすめ、各地方自治体を通じて広域化を促した。 3. それがさらに広域化するのは、昭和60年代以降で、国の施策と山村地域の活力がさらに失なわれたことがそれを支えた。 4. それらの広域化の動きを都道府県単位でみると、一貫した広域化をすすめたグループ(A型)、昭和60年代以降すゝめたグループ(B型)、それ以前にすゝめたグループ(C型)、ほとんどすゝんでいないグループ(D型)に分けられる。 5. それらの型の中から事例的に検討すると、旧組合を束ねた連合体としての広域化が目立つが、全く一新して広域組合の独自性を打ち出す例もあらわれるようになった。しかし、人事の幅広い登用や企業性を導入し、市場とのネットワークをいかに確立するかという基本点でまだ十分検討の余地がある。
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