研究概要 |
1.本研究では、環境保全型の農地整備にあり方について,純農村地域である宮崎県都城市と都市近郊の横浜市泉区について調査を進めてきたが,今年度は以下のような知見が得られた。 2.都城市-農地整備の経過・実態・計画などの資料を収集し,検討したが,下水流地区のように,すでに農地整備は終了したが,残地において自然の再生を図るための農村公園を計画している地区,圃場整備の計画から実施に移されようとしている横市地区のように,地元市民及び地権者の一部に蛇行跡・ビオトープの保護など自然を考慮した整備を主張している地域があるなど,わが国農村部においても行政や市民に自然の保護・再生の動きがあることが明らかとなった。次年度には,蛇行跡や歴史的遺産である旧用水堀取水口が残る有里地区を含め,ドイツで実践されているような環境保全型の農地整備について,これらの地区の景観生態学的調査を基に考察したい。 3.横浜市泉区-泉区の和泉川流域の沖積低地(谷戸田)において土地利用の変化について調査を行ったが,市街化調整区域では殆どが水田から転作畑あるいは放棄地になっているのに対し,かつての水田は市街化区域では都市的施設あるいは遊水池・親水公園などに変化していた。市街化区域では,河川改修が行われたが,その際,親水機能をもたし,自然再生化の試みがなされ,有る程度の成果を上げていた。次年度は,市街化調整区域において計画されている河川改修計画と,農地の保全と河川の自然再生化についての関係を考察したい。
|