研究課題/領域番号 |
07680182
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
砂村 継夫 筑波大学, 地球科学系, 教授 (00011164)
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研究分担者 |
松岡 憲和 筑波大学, 地球科学系, 講師 (10209512)
松倉 公憲 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (80107341)
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キーワード | 海食台 / 波食棚 / 高度 / 水槽実験 / 現地実験 / 風化 |
研究概要 |
本研究では、砕波後の波が作用するような境界条件(地形場)にある海岸で形成される波食棚あるいは海食台がどのような高度を示すのかという点を水槽実験ならびに現地実験の結果を解析することによって明らかにした。まず、水槽実験では15x15x0.8mの平面造波水槽の一端に波向線と60度の角度を持った、沿岸方向に長さ3mの人口崖(セメント・砂・水の混合物で、圧縮強度340gf/cm^2)を作り、これに砕波後の波を作用させて侵食を生じさせた。25cm間隔で設けた9測線のすべてにおいてノッチが形成された。ノッチの下限値を波食棚の高度とみなし、これと各測線の崖前面での波高との関係を調べた結果、波高が増大するにつれて波食棚の高度は低下することが明らかとなった。次ぎに、宮崎県青島に架かっている弥生橋の橋脚(石積み)に用いられている砂岩のブロックの表面は橋脚の建設当時(1951年)は全て平坦に整形されていたので、これを初期の境界条件をコントロールした現地実験とみなして、砕波後の波が作用する場に発達する波食棚の高度に及ぼす風化の影響を定量的に評価した。1971年と1989年に取得された砂岩ブロックの侵食状況に関するデータのうち、豊富な日射量がある橋脚の南面とほとんど日射量のない北面のデータを用いた。橋脚に作用する砕波後の波の侵食力は南面よりも北面の方が大きい。本研究で提示された「風化による岩石強度低下モデル」を用い、砂岩ブロック表面の侵食量を表現する式を導き、この式に実測値を代入することにより風化の影響を定量的に求めた。その結果、風化による南面の岩石強度の低下は北面に比べて one order 大きく、南面では顕著な強度低下が平均朔望満潮位付近で生じているのに対し、北面では強度低下は上方に向かって徐々に進行していることが判明した。すなわち、風化の影響を強く受ける場所では、たとえ波の侵食力が弱い所でも、波食棚は低い高度で発達し始める、という結論が得られた。
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