研究概要 |
1.初年度である今年は、ブ-タンヒマラヤ内における,日降水量分布の地域差やその原因を明らかにするために、まず以下のような降水および風のデータ処理を、1988年と1989年の2年間について行った. (1)ブ-タンの日降水量データをコンピュタ-に入力・編集し、データベース化を行った. (2)データベース化したブ-タンの日降水量データを基に、ブ-タンヒマラヤにおける日降水量分布図の出力を行った. (3)ヨ-ロピアン中期予報センターのグリッドデータの編集を行い、気流系図の出力を行った. 2.降水分布および降水分布と気流系の関係の解析を、1988年を対象として行った結果、以下のような知見が得られた. (1)ブ-タンヒマラヤでは、南部のヒマラヤ山麓からその北に位置する山間盆地にかけて降水量の急減が認められた.このような降水量の顕著な地域差には、降水の年変化の地域差より、日降水量強度の地域差が大きく寄与していることが明らかになった. (2)気流系の解析から、ブ-タンヒマラヤにおける降水の空間変動には、シノプティックスケールにおいてはモンスーン循環が、ローカルスケールにおいては山谷風循環が密接に関連しており、両循環とブ-タンヒマラヤ特有の地形配列が、南北方向ならびに稜線と谷底間に認められる顕著な降水量の地域差の出現に、大きく寄与していることが明らかになった.
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