研究概要 |
本年度は,ブ-タンヒマラヤを中心とする東部ヒマラヤとインド中部のモンスーンの季節内変動の連関を明らかにするため,1988年の日降水量データの解析を行った.その結果,以下のことが明らかになった. 1.東部ヒマラヤと中部ヒマラヤ,インド北東部の季節内変動の位相はほぼ同じである. 2.東部ヒマラヤの降水量は,モンスーンの開始から7月までは,インド中部のモンスーンの活動期に少なく,休止期に多い,つまり,東部ヒマラヤとインド中部のモンスーンの季節内変動の位相には,逆相関が認められる. 3.8月以降になると,東部ヒマラヤでは,地域によって季節内変動が異なるとともに,インド中部の季節内変動との間に明瞭な関係は認められなくなる. さらに,ブ-タンヒマラヤにおける大雨の原因を明らかにするため,1989年の日降水量データの解析を行った結果,以下のことが明らかになった. 1.ブ-タンヒマラヤで,5月と6月に大きな被害を引き起こした大雨は,ブ-タン付近を通過したサイクロンによるものである. 2.サイクロンによる降水は,モンスーン期間中の他の原因による降水量と比較して,山間の盆地域で月降水量に匹敵するほど多く,災害を引き起こした.
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