| 研究概要 |
1.富士山,乗鞍岳,御岳山での現地調査を行った.それぞれの山岳で森林限界付近の林分構造についての調査を行ったが,富士山以外では予備調査にとどまり,さらに調査を続行する必要が生じている.富士山の北西斜面の樹木限界付近では斜面上に周氷河地形と思われる階段状の微地形が存在しており,これによって群落の成立が規定されているように思われる.その分布域を特定することが急務であるが,現在このような土地的条件が群落形成に与える影響を吟味するため,高度の異なる3地点で気温,地温を通年で継続的に観測中である.このようなスケールでの樹木の生育条件の検討の際には,大気だけでなく,土壌を通じた温度条件,水条件なども重視して観測することが必須である。
2.ややマクロに見た植生と気候環境の関わりを吟味するため,中部山岳地域の温度特性について夏山の気温観測データと高層気象観測データを用いて解析を行った.その結果,山岳の夏季の気温は自由大気の気温を基準にすると山岳域中心部で高く,縁辺部で低くなることが判った.このことの植生の育成環境に及ぼす影響評価は今後の課題である.
入手した年輪試料については年数と年輪幅を読み取った.よりピュアーな気候変動の抽出のため,年輪試料の採取は樹木の生育限界付近で行ったが,1で述べたような条件をどのように評価するか検討を要する.気候データの関係についての解析は鋭意続行中である.
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