経年変化のはげしい1993、1994、1995年の石灰岩溶食率モデルに1996年のデータを加えることによって、さらに精度の高いモデルの構築がおこなえる可能性が出てきた。 1996年までの溶食量の計測によって明らかになったことは次の通りである。 (1)空中の溶食率は年降水量より、WS-WD(水過剰量-水不足量)がより強く影響していることがわかった。 (2)地中では溶食に強く働くのはWSと、二酸化炭素分圧である。特にB局位はよく溶け、空中の3-5倍に達する。 (3)地中の溶食率は暖候季の一定量を越える(約20mm)降雨後、3〜4日で高いCO_2分圧が出現することが影響している。 (4)日本全国の各年の経年変化を総合して、空中の年平均気温と、WSのバランスが溶食率に強く影響し、急変して溶食率の高まる地域があることがわかった。即ち、秋吉台と龍河洞付近では急に溶食率がそれより北の地域より増加する。 今後、この急変する溶食率の増大は、年平均温とWSのみでよいのか検討し、より精度の高いモデルを構築する。
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