日南海岸・青島・弥生橋の4基の四角錘台形橋脚の側面は積み石で覆われ、積み石された砂岩塊の表面にはタフォニ様窪みが形成されている。窪み深さの計測結果によると、各側面毎の最大侵蝕深さならびにその出現高度が、第1橋脚から第4橋脚に(青島側から九州側に)むかって徐々に大きくかつ高くなっている。これは、橋脚の位置によって風化・侵蝕営力の様式や強度が微妙に変化していることによると推定されるが、その差異の実態と機構を解明することが本研究の研究目的である。 (1)日照条件の橋脚毎の微妙な差異の解析:橋脚毎に日照条件は異なるが、窪み深さの橋脚による変異は日照条件に起因するものではない。窪み深さの橋脚側面の方位による変異は日照条件に比例するが、その比例式は橋脚相互で異なる。(2)含水比観測の新技術:砂岩塊表面の風化の実態を解明するためには砂岩塊の含水比の観測が不可欠である。そこで、赤外線水分計を用いて非破壊でかつ野外で観測できる新技法を開発・確立した。(3)砂岩塊の風化過程の解析:赤外線水分計を用いて、砂岩塊の含水比およびその変化の特徴と窪み深さとが調和的であることを発見した。(4)熱赤外線映像の観測:含水比観測の情報を面的情報に拡張することを主目的として橋脚の熱赤外線映像を撮影し解析した。観測は夏季と冬季に実施し、風化過程の研究に有用であることが判明した。これが主な研究成果である。 今後は、砂岩塊に対する海水の供給様式・供給量、ならびに波浪や風による侵蝕過程の実態を追及する必要があろう。
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