LOGOを用いた教育実践の実態を把握するために、我国の小・中・高校におけるLOGOを用いた教育実践の論説を系統的に224件収録し、実践の実態を調査した。技術・家庭科の情報基礎でおいては、プログラミング教育の道具として多く活用されていることや、情報基礎のプログラミング教育においてはタートルグラフィックスを基礎とした動画・アニメーション、コンピュータ制御の教育が行われていることがわかった。LOGOのプログラミングの教育実践の75%は日本語化された命令を使って行われていることも明らかにできた。 科学技術教育の立場で、最近のソフトウェア科学の進展を考慮しつつ、中学生を対象とした、情報科学や情報技術の基本を教え、ソフトウェアの構造化を中心としたコンピュータリテラシー教育の教育内容を確立することができた。すなわち、最近のソフトウェア科学の成果を踏まえて、ソフトウェア教育を構造化し、構造化プログラムの原理的な部分(モジュール化と3制御構造)を核とした教育内容を構成できた。情報基礎ではBASICを用いられることが多いが、LOGOを用いるとモジュール化を意識せずに教授でき、より広い構造化の概念を教えることが出来ることを示した。 以上の分析と検討に基づいて、LOGOを用いたソフトウェアの構造化を中心としたコンピュータリテラシー教育の中学校生徒用のテキストを作成した。コマンドは日本語を用いた。本テキストは前半はグラッフィクスを取り入れ、後半は技術教育の観点から発光ダイオード点滅制御とインテリジェントマウスの走行制御を教材としている。グラフィックスと制御学習の中でソフトウェアの構造化を中心としたコンピュータリテラシー教育が追求できるものとなっている。本研究によって視聴覚教育の立場でなく、科学技術教育の立場で、情報教育を把握することができたといえる。
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