本年度の研究は、昨年度に引き継いで、算数数学科の教師にとってとりわけの関心事である「教材研究のありかた」に力点を置き、「教材研究の原理」を、現場人に問いかけながら、適否の反応を見これの策定に努めた。枠組みは<意味・意義・心理>の伝統的3視点と学習過程での3視点<後答・誤答・娯答>を5視点<吾答・誤答・語答・娯答・悟答>に改正し融合させた構造になっている。これについては学部4年生及び大学院生を対象とした新城地区合宿授業研究会においても試行した。研究会での実施の様子については、参加者がこれをもとに修士論文、学部論文にまとめているほか、別冊として刊行した授業研究会報告書がある。また現職者への働きかけの一端は、教大研の研究史料、学会誌イプシロン、平成7年度算数・数学研究集録(岡崎市現職教育委員会算数・数学部)、平成7年度学校数学研究会研究集録小学校部会および同中学校部会等、に掲載されている所である。 また本年度において、岡崎市の現職教育(算数・数学)の組織がどの様に機能するかについて、日頃の実践を刊行物にまとめる場を提供し、実践研究を依頼したところ、まとめることが自己研修になるとのことで希望者を募り3巻本に対してテーマを設定、執筆依頼、助言補助等について関与し、今年度末に原稿が揃うまでに至っている。 また、「教大研」での研究資料も、関係者一般の利用が可能な限り可能なものとするため、他大学の先生方と共同して仮称「数学教育研究」「和田義信先生著作講演集」などの形で世に出す方向で努力する計画であったが、前者については原稿審議や書き直し作業を続けており近々原稿をまとめたいとしている。後者について出版社と契約ができ、8年夏を目途に作業が進行中である。
|