研究概要 |
「琵琶湖の富栄養化」と「酸性雨」を素材とした小・中学校における水環境学習の指導案を学校現場の教諭の協力を得て作成し,実践授業を通して実証的に研究を進めている。できるだけ,体験・実験実習を通して科学的に理解できる授業を目指して検討し,公開授業を行ってきた。ここ6年間に環境学習のための単元を構成し,学習指導案を33(本年度4)作成し,公表してきた。この過程で児童・生徒が野外や教室内で容易に使うことができる測定器具を開発したり,市販の器具の環境学習への応用を試みた。製作した器具には,簡易比色計,長い透視度計,応用した器具には,pH比色計,簡易ろ過器などがある。さらに,「富栄養化」学習の中で,リン酸イオンの検出液(モリブデンブルー法)を使った授業を展開しているが,楽しく理解しやすい授業とて推奨できるものである。また,植物プランクトンの培養を小学校レベルでもできるような工夫もした。来年度は,学習指導案に検討を加え,環境学習のモデルとなる授業を提示するとともに,他教科との関連を検討しながら,総合教科(環境科)を目指して研究を続けていきたい。また,環境学習のための基礎データを得るために,酸性雨と琵琶湖の水質を分析しデータを得ている。1991年来,24時間ごとに降水をサンプリングし,主要イオンと懸濁態および溶存態の窒素・リンについて分析を続けている。ここ1年簡に得た106個のサンプルを加え,合計512個のサンプルについてデータを蓄積してきた。来年度はこれらのデータを経年変化,季節,気象,各成分の起源といった観点から解析し,分かり易い表現方法に関する基礎検討を行い,小・中学校における環境学習に活かしていく予定である。
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