平成7年度から平成8年度に科学技術および理科離れに関する意識調査としてアンケート調査を行った。その結果、母親の意識や環境が子供の進路に影響を及ぼしている傾向がつかめ、家庭の中で母親の担う役割が重要であること、したがって女性への科学技術教育が将来を担う人材の確保に重要であることが確かめられた。また学校教育における女性の役割も大きく、特に同性にとっては意義があり、理系、特に物理分野などの教員への進出が今後の課題として明らかになった。 平成9年度はさらに下記の調査を行い、本研究テーマについての分析を行った。まとめの年として、その得られた結果を記述する。 1.平成7・8年度に引き続き、科学技術および理科離れに関するアンケートによる意識調査を同内容で、7月から8月に下記対象者に対し調査を行った。調査対象は、本学理学部学生100名、通信教育の夏期スクーリング生(家政学部)150名である。本アンケートの回収率は97%であった。 2.前年度までの科学技術および理科離れに関するアンケートによる意識調査から小学校時代に理科の好き嫌いが生じていると考えられるので小学生の現状について調査資料の分析を行った。 3.また、小学生の教育現状を踏まえて、小学校教員への聞き取り調査を行った。調査した小学校では、中学年頃から好き嫌いが生じ、この時期の将来の進路決定への影響が大きいことがわかった。 4.調査結果をコンピュータに入力し、出力を視覚化し、わかりやすい分析を加えた。 5.理系進学に関する影響として、家庭、学校、社会が、お互いに関連しあっている。カリキュラム編成、実験教育などの検討、専門教員の充実、女性の社会進出における知識、実体験の充実、家庭教育での母親の意識の向上など科学技術教育に対する女性の担う役割は大きい。 6.以上、平成9年度の研究成果の一部は、第58回応用物理学会学術講演会で発表した。
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