本研究では、科学教育のためのハイパーメディアプログラムの事例として水質汚染を取り上げ、その試作を通して内容構成の検討を行った。 平成7年度は、以前試作した水質汚染教材のスクリプトおよび内容を再検討した。内容は、水の役割、汚染の発生と特徴、フィリピンと日本における汚染の原因、化学物質等となっている。理科の専門知識の引用により内容を充実するため、第6回世界湖沼会議「霞ケ浦'95」において、湖沼についての市民・生徒・研究者・環境機器製造業者・行政など複数の立場からの、多様な側面にわたる湖沼環境についての問題提起とその解決方法についての画像を用いた展示資料を収集した。 平成8年度は、水質汚染に関する映像事例として、長野県諏訪湖の定点で1996年4月より11月まで7回にわたり湖畔の植物と水面の様子を季節ごとにビデオ撮影し、これに対し生物学を専門とする湖沼研究者に依頼してナレーションを作成し、この画像と音声を編集してハイパーメディア向きの映像を作成した。この映像に対する現職大学院生2名から意見から、この映像が学校教育で利用可能であることの示唆を得た。また、現行の小・中・高等学校の学習指導要領及び教科書から水質汚染に関わりが深いと思われる、自然環境、環境問題、環境と人間生活等に関する事項を取り出した。これらのいくつかの事項の学習に、上記諏訪湖畔の季節変化の映像は事例として役立つことの示唆を得た。
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