平成7度には、心拍値のモニタリングを行う総合的評価システムを開発した。 (1)心拍値のモニタリングと実時間解析方法の開発 心電図を増幅し、R波とT波に対応したパルスを発生させ、伝送する方法を用いてモニタリングを行った。伝送法として電磁誘導法を採用した。伝送距離に制限があったが、安定した伝送が可能となった。 (2)心拍値の実時間解析結果の表示方法の開発 心拍値の応答に関しては、短時間生起する一過性心拍反応と、比較的長い時間にわたって生起する持続的心拍変動とに分類することができる。一過性心拍変動に関しては、CAIからの信号を基準とし、bpm値の時間的変動を表示した。持続的心拍変動については、bpm値の時系列のMEMスペクトルを算出し、表示した。 心拍値の解析結果を実時間で簡便に表示することにより、学習過程の分析が容易になった。呼吸性心拍変動は、副交感神経系の活動レベルを反映することが指摘されており、注意集中や緊張状態の持続に伴い周波数変動が消失することが明らかにされている。本研究では、スペクトルアレイとして表示する方法を適用した。この方法によって、自閉的傾向を持つ精神遅滞児は、CAIにおいて、緊張状態が低いことが明らかとなった。また、常同行動や奇声など、学習を進める上での妨害行動が減少した。これより自閉的傾向を持つ精神遅滞児に対するCAIの有効性が明らかとなった。
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