平成7度には、心拍値のモニタリングを行う総合的評価システムを開発した。はじめに心拍値のモニタリングと実時間解析方法の開発を行った。心電図を増幅し、R波とT波に対応したパルスを発生させ、伝送する方法を用いてモニタリングを行った。次に、心拍値の実時間解析結果の表示方法を開発した。一過性心拍変動に関しては、CAIからの信号を基準とし、bpm値の時間的変動を表示した。持続的心拍変動については、bpm値の時系列のMEMスペクトルを算出し表示した。心拍値の解析結果を実時間で簡便に表示することにより、学習過程の分析が容易になった。 平成8年度には、CAI学習環境の基礎研究として、精神遅滞児の数概念の発達的特徴を検討した。その結果、数字と数詞の間の等価関係が成立しやすいが、他の刺激との間の機能的等価性の獲得が困難なことが明らかとなった。さらに数概念の課題遂行時の精神遅滞児より心拍変動を測定した。その結果、教材が対象児の発達レベルと対応した場合には、援助課題の遂行時に明瞭な心拍減少が生じることが明らかとなった。 以上の検討の結果、数概念の援助課題を遂行している際の呼吸性心拍変動のモニタリングによって、精神遅滞児において、援助による学習促進が生じている場合の学習過程を評価できることが明らかとなった。
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