本研究は留学生のための事前研修プログラム(特に短期)の開発とそのための事前研修プログラム評価票の開発をめざした。筆者は本研究に先立ち、対象者のニーズを調査する調査票を作成してきたが、本研究のためさらに修正を加えその精度を高めた。その分析結果を基に、英会話研修の内容を一層充実させることを中心に新たな工夫をした上で、最終的な事前研修プログラムを開発した。研究協力校において平成7年度(平成7年11月〜平成8年3月)に事前研修を実施し、その修了時の平成8年3月上旬に研修プログラムの評価のため調査(アンケート形式)を実施した。対象者は高校1〜2年生20名である。調査票は事前研修内容のそれぞれの回数(6項目)、事前研修全体の印象(5項目)、英会話研修全体の印象(7項目)、その他の研修内容の印象(6項目)の計24項目について、それぞれ3肢選択形式により回答を求めた。このうち、本研究は同研修をARCS理論の立場から検証することを大きな目的としていたので、事前研修全体と、特に力点を置いた英会話研修について、ARCS理論の立場から評価が得られるようにした。調査の結果は、集計後、X^2検定を用いて分析した。その結果であるが、対象者は以下のようにARCS理論からみても全体的に肯定的な評価をしていることが明らかになった。 (1)事前研修全体、英会話研修、文化事情、さよならパーティ、合宿の回数は多くなかった。ただし、事務連絡等の回数はちょうどよかった。 (2)事前研修全体について、どちらかといえば魅力的であり、おもしろく、やりがいがあり、内容の難易度は難しくなく、不満は残らなかった。 (3)英会話研修全体については、魅力的でないとはいえず、退屈ではなく、やりがいがあり、難易度は適当であり、不満が残ったとはいえない。さらに、同研修は役に立つと思い、英語学習に対する意欲が高まった。 (4)事前研修のうち、文化事情についての講義、ビデオ学習はどちらかというとおもしろく、安全教育、生活上のマナーはわかりやすく、合宿研修はおもしろかった。
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