研究概要 |
平成7年度はこれまでの一輪車走行スキルの習得実験から得られた定性的な習得プロセスを、定量的に把握するための方法論の開発を主たる研究課題とした、定性的に記述された習得段階のな内で,特に初期の取得段階に絞り,初心者が犯す誤った身体運動と認知的方略を浮き彫りにするための以下のような試みを行った. (1)(ア)ビデオカメラによる映像データ,(イ)訓練途上に挟み込む内観データ,(ウ)筋電図などの身体情報データによる分析から,初心者には次のような認知と運動表出のズレがあることが推定された.これを検証するために,複数の関節角度データから走行姿勢を連続的にモニターできるシステムを開発した. (2)初心者が一輪車走行を取得するプロセスで,リラクセイションがどのように深化していくかを検証するため,リラクセイションの深化を鋭敏に反映すると考えられる走行時の呼吸活動を連続測定するシステムを携帯型レスピトレースと現有設備のテレメータを組み合わせて開発した.本システムについては第14回日本生理心理学会で報告予定である. (3)走行姿勢データと呼吸データを時系列を合わせて表示し,かつ姿勢の崩れと緊張レベルを的確に把握できるようなデータ処理・表示用のソフトウェアを開発した.平静8年度に予定している実験のために,身体情報の乱れを聴覚的にフィードバックする機能をもたせた. (4)早稲田大学では,これまでの取得実験で得られた到達階段の異なる学習者のVTR画像データを編集して,Visual Testを開発した.走行できない段階から10秒以上の走行が可能な段階までの学習者のVTR画像を用いた. 以上の方法論の整備により,平成8年度に予定している実験の準備は整ったことになる.
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