研究概要 |
AHP評価法の特徴は主観を定量的に測定できることである.AHPは関連する項目について一対比較することによって,人間のあいまいな勘や直感による判断を重みあるいは比率として求めることができる.この考えに基づいて,評価する項目の重みを決定する。 これらまでの研究成果に基づいて、1枚の半紙に書かれた2文字の漢字の4作品について、書道作品評価支援システムとして、AHP、ファジィ推論、ファジィ積分、ファジィ数、外形比較法を応用した5種類のシステムを試験的に開発している。これらのシステムでは評価項目をかなり絞って17項目で評価するようにした。 本年度は毛筆書写事典、教科書、指導書などを収集した。それらの資料の参考にして、毛筆書写作品を評価する項目について検討し直した。それを専門家に検討してもらった結果、4〜6階層の71評価項目の階層構造図が完成できた。このことについて「書道作品の評価法を練習するシステムの設計」(日本教育工学会第11回大会講演論文集,1995)にて報告した。 小学校で学習する漢字すべてについて練習できるシステムを構築するため、手本画像、作品画像、および漢字のデータベースを構築することにした。児童の作品の提供を依頼しており、来年度の1学期まで収集を続け、来年度半ばにはこれらを完成する。 いくつかの作品についてエキスパートに評価してもらった。エキスパートによる評価のない作品の漢字についても適切な指針が示せれるように、この評価基準に基づいて、手本と作品を比較して、評価項目ごとに異なる部分の面積の比率からファジィ推論を用いて定量的に評価を行うアルゴリズムを開発中である。これらの成果について「AHPとファジィ推論を用いた毛筆書写の評価法を学習する知的システムの構成」(日本教育工学会・研究会研究報告集,JET96-2)にて報告した。
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