【目的】 本研究の目的は、日本で重度視覚障害者に数学の高等教育を施す際に実用に耐える点字記号体系を見いだすことで、本年度の目標は、研究体制の整備と研究対象の把握にある。 【本年度の事業】 研究設備の充実 別紙に示すような機器とソフトウェアを購入し、日本語と点字のOCRによるデータ入力の効率化を図った。これによって、本研究事業の作業効率は飛躍的に改善された。 2.先進国の事例研究 数学点字記号体系の設計思想を研究する目的で、米、英、仏と日本の数学点字記号体系を比較検討し、特に添字の表記法に関して考察した結果の一部を斎藤が公表した。 3.国内の聞き取り調査 数学点字記号体系の設計思想に関して、栗原が国内の複数の点字使用者から意見を聴取した。 【研究の途中で新たに浮上した問題点と課題】 1.英語による日本の点字表記法の解説書の作成 海外の研究者と情報交換を行う上で、標記の資料が必要になるが、それはまだ存在しないため、新たに製作する必要がある。 2.各国の数学点字記号対比用例集の作成 標記の資料の公表は、点字記号体系の研究全般に有効であるが、資料の性質上、学術論文の形式をとりにいくために、むしろ、資料集として製作し公表するほうが適当である。 3.新しい点字の概念の考案 点字記号本来の限界を現代の高度技術で克服する方策を考案する必要がある。
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