研究計画に基づき、主として次の3点について研究を進めた。 1.児童・生徒の活動を豊かにするマルチメディア環境の整備 プログラミング活動の中に、写真や音声、映像がどのように組み込めるか、実際に、マルチメディア対応の2つのLogo言語を用いて検討した。その中で児童・生徒の活動を支援する素材の必要性を感じ、約1000枚の写真、約50種類の音、約50種類の映像を収録した。現在、その作業を続けながら、児童・生徒が使いやすいように「背景素材」「部品素材」「参照素材」として加工、整理している。 2.児童・生徒のプログラミング活動の質がどう変わるか 従来のLogo言語を用いた児童・生徒の作品分析を通して、奥行きのない動きが多い、単発の動きが多い等の知見を得た。マルチメディア素材を用いることによって、背景や他の対象との関係が捉えやすくなり、より多様な表現の生まれることが期待される。そこで、現在、画面からのアフォーダンスの違いという視点で児童・生徒の活動を捉える理論的な枠組みについて検討している。 3.どのように個のプログラミング活動に関わるか 授業場面における観察を通して、児童・生徒が、「発信することを意図しない情報」を様々な形で生み出していることを具体的に捉えている。それらは教師や他の児童・生徒が気付かなければ、そのまま消えていってしまうような性質のものである。個々のプログラミング活動において、このような情報によって生まれる児童・生徒同士の関わりや教師との関係は大きな意味を持つものと思われる。事例研究を重ねて、得られた知見を整理していきたい。
|