児童・生徒のプログラミング活動の観察を通して、マルチメディア環境でどのような問題解決活動が行われるか考察した。その結果、次のような知見を得た。 1.マルチメディアデータの活用によって、児童・生徒の問題解決活動と現実の世界との結びつきが強くなる。具体的には、 (1)画面からのアフォーダンスが豊かになり、新たな活動が展開するきっかけになりやすい。 (2)画面からのアフォーダンスによりプログラム作成上の問題が生まれ、デバグ等の活動に結びつく。 (3)こうした活動の体験が、現実の世界への問題意識へと結びつくことがある。 2.児童・生徒の活動に大きな影響を与えている画面からのアフオーダンスについて、その作用の仕方から次のように分類してみた。 (1)物理的なアフォーダンス…空間の特性、位置関係、物や場の性質等 (2)社会的なアフォーダンス…常識に関すること、規則に関すること こうしたアフォーダンスは、児童・生徒の活動を広げる働きとともに活動を規制する働きもしている。 3.個性的な問題解決活動を支援する具体的な方策として、次のようなことが考えられる。 (1)活動の場となるマイクロワールドを提供する。そこで現実の世界に結びついた問題が生まれる。 (2)マルチメディア素材の提供等を通して、児童・生徒の活動に関わる。 (3)一緒に問題解決活動の場に居る。そのことで、児童・生徒からの教育関係構築の場が生まれる。
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