研究概要 |
研究者らは,民族舞踊の実技習得用マルチメディア教材“ガムランの技法"の開発のなかで,いくつかの学習者適応機能を実現してきた.しかし,コンピュータの著しい高速化や機能充実に対応するために,現在はMachintosh Quadraシリーズで稼働しているソフトウェアをPower Machintosh上で使用可能にするための移植作業を開始した.また,システム構成をよりシンプルにするための試行をおこなった.さらに,音声認識によるリクエストコントロールシステムの高度化にもとりくんだ.このシステムでは,学習者の要求を実技学習を中断することなく教材に反映させるために,音声認識によってコンピュータに指令を伝達し,操作することを可能にするシステムを開発している.これによって,学習者は,キーボードやマウスなど手をもちいるインタフェースによってコンピュータを操作することから解放され,コンピュータからはなれた位置で自由な姿勢をとりつつ,日常的な日本語によって教材をリアルタイムにコントロールでき,教授内容・速度等を学習者の要求に合わせて変化させる適応機能が実現されている.この機能をもとに,現在のコンピュータにおける音声認識機能の充実をふまえ,より簡易により高度な制御が可能なシステムの開発に着手した. こうしたシステムの評価のためには,教授内容や学習効率などの学習者による主観的評価と同時に,学習者にかならずしも意識されるとはかぎらない生理的反応をもあわせて多元的に検討することが有効と考えられる.そこで,研究者らは,可知覚領域・非知覚領域をとわず,人間とメディアとの適合性を生理学的に評価する手法を応用して,学習者適応機能の生理学的評価を可能にする生理指標の探査と,その計測システムの構築,それらによる予備的な評価実験をおこなった.
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