平成8年度は、継続研究の2年目として(1)教科教育学・美術に関する基礎的データベースの確立、(2)概要を含めたデータベース内容の充実、(3)検索システムの検討を目的として研究を進行させた。 まず、教科教育学・美術に関する基礎的データベースの確立とデータベース内容の充実のために、教育系大学院美術教育専修における修士論文、大学院博士課程における美術教育分野の博士論文のデータを収集し、そのデータベース化を推進した。具体的な成果としては、全国36大学の大学院における1970年以降の修士論文、博士論文のデータが収集され、EXCEL、FileMaker Pro、HyperCardの各種ソフトを利用して作成したフォーマットでデータベース化を進めた。本年度は、1990年以降の著者名、論文タイトルの入力を行い、概要と1990年以前の著者名、論文タイトルの入力については次年度の課題とした。また、学会誌論文のデータベース化方策については、美術科教育学会、大学美術教育学会等の学会誌や、Studies in Art Education、Art Education Journal of aesthetic Education等の各研究誌を試験的にデータ入力し、検索方式をシミュレーションした。しかし、外国の研究誌については、ERICやART INDEX等のデータベースが存在し、美術教育独自のデータベース作成の必要性が求められない状況にあることや、国内でも美術科教育学会のように学会独自のデータベース化が進められており、本研究のデータベース化の範囲については今後見直す必要がでてきた。 次に検索システムの検討については、フロッピ-デスクの提供によって国立大学間の情報交流を促進させることを視野に入れ、パーソナルコンピュータ利用による簡略化した検索システムを推進してきた。同時に、ホームページの作成によって本研究の成果を広く利用できるようにすることを図り、インターネット上で展開することをめざした基盤づくりと、その運用上における著作権等の問題を検討した。
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