本年度は、本研究の最終年度として、(1)教科教育学・美術に関する基礎的データベースの確立、(2)概要を含めたデータベース内容の充実、(3)検索システムの検討という観点から、以下の具体的な課題について検討を行った。なお、その成果は、研究成果報告書(冊子体)及びディスクメディア(MOディスク)としてまとめた。 まず、美術教育関連分野に関する博士、修士論文データベースの作成では、データ収集と入力を同時に進め、データベースの情報量を拡充した。現在までに、全国36大学の大学院における修士論文、博士論文の論文題目及び概要データを収集し、データ入力を進めた結果、1000件ほどのデータベースとなった。また、EXCEL、FileMaker Pro、HyperCardの各種ソフトを利用して作成したフォーマットによって、実用段階としての検索システムを検証し、そのメリットと問題を明確化した。 次に、学会誌論文等に関するデータベースの作成では、博士・修士論文データベースに準じて、学会誌や書籍資料に関するデータベースの情報量を拡充し、学会誌関係では、『美術教育学』、『大学美術教育学会誌』、「アートエデュケーション」、Studies in Art Education、Journal of aesthetic Education、Visual Arts Researchを対象として、データ入力を進めた。しかし、入力情報量がまだ十分なものには至ってはおらず、今後の課題として継続して入力作業を進めていく必要がある。 最後に、インターネット及びデータベース利用にかかわる諸問題についてでは、スタンドアローン型の検索システムと同時に、インターネットやネットワーク型の検索システムの現状や課題を検討し、また、博士・修士論文データベースの利用をより効果的にする上での学外文献依頼にかかわる著作権等の問題や、図書館での閲覧にかかわる課題を明確化して、論考した。
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